コルセットを着けていれば安心!はホント?
コルセットを着けるとどんな感じ?
皆さんは腰のコルセットを使用したことはありますか?
その時どのような感情がありましたか?
「これを着けていると安定するんだよな。」「支えられている感じで安心!」などでしょうか。しかし本当に身体にとって良いことばかりなのでしょうか。今回はコルセットを着用することのメリット、デメリットとともに当院が皆様に伝えている効果的な着用の仕方についてもお伝えしていきます。
コルセットを着用する目的は何ですか?
コルセットが処方されるのはどのような場所が思い浮かびますか。1つは整形外科で医師の判断による処方。もう1つはドラッグストアなどで市販の物を購入する場合ですね。
どちらにせよ動作・運動に伴って痛みや痺れが生じている際にその問題とされる運動に抑制をかける目的で使用することが多いと思います。
ではなぜコルセットを着用すると痛みや痺れを抑制できるのか。それは靭帯損傷(断裂)や炎症、筋出力低下などの影響でその部位が“動きすぎてしまう”ことによって負担が掛かっていることが“多い”からなのです。その動きすぎている部分をコルセットを着用することで動かなくすることで負担が掛からないようにして症状が出ない状態を作りだしているのです。
構造的に緩くなってしまっている部位や今まさに炎症が起きている部位に対しては非常に効果を期待できるツールだと思います。
コルセットを着用する3つのデメリット
では逆にコルセットを着用することによるデメリットとはなんなのでしょう?それは「必要以上に締め付けることで必要な筋出力も抑制し関節に圧縮する負担を掛け循環機能も低下してしまう」ことです。これだけだと理解しにくいので分けて説明していきます。
まずは筋出力低下についてです。人は地球に住んでいる限りは常に重力が掛かっています。何もせずに座っている、立っているだけでも重力に逆らって姿勢を保持しているのです。この時には「姿勢保持筋」という分類の筋肉たちが働いてくれています。聞き馴染みのある呼び方だと「インナーマッスル」でしょうか。姿勢の微妙な変化に応じて身体の中のセンサーが感知して繊細な筋出力バランスの調整をしてくれています。コルセットを着用することでこの繊細なコントロールをする機会を奪ってしまい必要な筋出力バランスを身体が忘れてしまうのです。「コルセットを外すとなんか不安な感じ」を持っているあなたの身体はもうこの繊細なコントロールを忘れてしまっている状態かもしれません。
次に関節を圧縮してしまう負担についてです。人間の身体は全身で大小合わせて260個の関節を持っています。それぞれが適切な運動をするための形状に設計されています。スムーズな運動を行うためには一定のゆとりを持っている状態が必要です。コルセットで締め付けることで本来関節がやりたいスムーズな運動を阻害してしまう場合があります。締め付けることで症状を出してしまう代表例は骨盤ベルトによる仙腸関節の症状が挙げられます。最近だと椅子に置くクッションで骨盤矯正のものが多くありますがそのクッションの影響で仙腸関節に負担を掛けてしまった方も多いです。
最後に循環機能の低下についてです。人の身体は様々な組織から構成されています。骨、筋肉、筋膜、血管、神経、脂肪…などですね。その組織間の隙間には「組織液」という液体で満たされています。細胞に栄養、酸素を与えて老廃物を受け取る役目を果たしています。さらには細い毛細血管も全身に張り巡らされています。サポーターやコルセットで締め付けることでこれらの循環を阻害し結果的に関節、筋肉、筋膜などが栄養不足の状態に陥ってしまいます。栄養不足の状態が続くと疲労も蓄積しやすく、痛みセンサーも過敏な状態になります。
これら3点がコルセットを着用する際のデメリットです。
足うら屋の勧めるコルセットの使い方
- 痛みの強い時期は基本的には着用をお薦めします。
- 痛みが最大の時期を乗り越えたら少しコルセットを外せる時間を作っていきます。
- 更に痛みが軽減してきたらプライベート(仕事以外)の時間ではコルセットを外していきます。(主婦の方は洗濯、掃除、台所仕事など痛みのある部位に負担が掛かる家事以外では外したいです。)
- 明らかに痛みのある部位に負担が掛かる作業以外では外していく。
- 基本的には常時外しているがその時の調子に応じて着用の判断をする。
このような段階でお伝えしています。なぜ段階を踏むかというとコルセットを外した状態で自身の筋力で支える機能を身体に思い出させるためです。コルセットを着用した状態が当たり前だと脳が認識してしまうとそこからまた情報を上書きするのには時間を要します。そうさせないためにもしっかりと段階を踏んで身体主導の状態を脳に認識させ続けます。
いかかでしょうか。コルセットも上手に使えば身体を助けてくれますが使い方を間違えると身体を壊す要因にもなり得ます。
「私の症状は締め付けるのが正しい?締め付けない方が正しい?」と思われた方もいると思います。
コルセットの適合の相談なども含めてぜひ一度足うら屋をご活用ください。